私が留学中に習っていたチェリスト フランツ・バルトロメイ(ウィーンフィルで首席チェロ奏者だった方)は、
とても素晴らしい先生でした。
一回のレッスンが3時間に及ぶことなんていつものこと。
先生のご自宅からの帰り道はいつも空腹でふらついていて、
それでも指先と心は先生から受け取ったものでぽかぽか満たされていました。
先生は、私の持ってきたアイディアや解釈を否定することなく面白がって受け止めてくれたから、
その上で先生が「ここはこういうふうに弾いたほうがいい」と教えてくれると、私は素直に「そうだな」と納得して
体に染み込ませることができました。
レッスンの復習をしながら次のレッスンではこんなアイディアを試したらどうだろう、なんて考えてしまうのは、
先生の面白がる表情が脳裏に浮かぶからです。
レッスンの前後には泉下に眠る巨匠とのエピソードを教えてくれたし、有名な指揮者から譲り受けたという指揮棒の
コレクションを披露してくれることも(それはそれは素晴らしいコレクションでした)。
先生が音楽に対して抱く温かい光は、
今でも私の演奏家としての道を照らし続ける指針となっています。
ブリティッシュ・カウンシルの先生も、生徒の興味関心を増幅するのが上手。
この間のレッスンでは、英語の言い回しについての質問から、
イギリスの地方の方言についての雑談から始まって、
言語の変遷について会話が広がっていきました。
授業が脱線するにもかかわらず、
受講生は皆面白がってたくさん質問をします。
ちょうど私は5/3の演奏会でブリテン(イギリス出身の作曲家)の歌曲「夏の名残の薔薇」を
チェロで演奏することを決めたばかりだったから、
英語がどうやって今の形に変化していったか知ることで
古い英語で書かれた歌詞への理解が深まり、フレージングやボウイングの参考になりました。
ブリティッシュ・カウンシルの良いところは、受講生たちがみんなとにかく質問をして
能動的にレッスンに参加しているところ。
きっと普段から色々なことに興味を持ち、得た疑問をレッスンで解決しようと試みているのだと思います。
私もレッスンでは疑問点を明らかにしたくてしょうがないから、
教室の雰囲気が能動的だととても楽しい。
ちなみに私はできるだけ「この単語の意味は?」みたいなセンテンスではなく
「この単語は私はこういう認識でいるのだけど、合っている?」という感じで訊きます。
その方が覚えやすいから。
自ら求めた知識は、体に刻み込まれて自分の糧になるのです。
レッスンに必要なのはペンと、好奇心。
連休明け、ブリティッシュ・カウンシルでは「短期集中 ビジネス英語」の受付が始まりました。
私はビジネスマンではないから受講は考えていないけれど、とても面白そう。
「好感の持たれる初対面の挨拶」や「クライアントへの質問の仕方」なんてタイトルを見ていると、
私が今知っている挨拶の仕方や質問の仕方以外にどんな言い回しがあるんだろう、ってどきっとする。
私が留学する際にドイツ語圏の先生方に打診をした際も、
ドイツ語が覚束なかった時に熱意だけで書いたメールは全て無視されて
B1のライティングのテストに合格したあとに書いたメールは100%返信が返ってきたもんね...恥ずかしい。
私も普段の英語でのやりとりをもう一度見直して、
色々なバリエーションを身に着けようと思います。
連休明け、曇天が続き気も滅入りますが、遠くにある同じく曇天の島国に思いを馳せて
次のレッスンの予習でもしようかな。
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