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執筆者の写真Nanami Narita

カウンセリングを受けてきた。

更新日:2018年7月16日

ボイスレコーダーの使用用途はいくつかある。

インタビューを録音し記事を起こしたり、会議を録音し聞き返したり、遠く離れた外国にいる恋人に物語を朗読してもらい就寝前に聞いたり、様々に使える便利なツールだ。

私の場合はレッスンや合わせを録音し復習に用いるために、高校生の頃からいつもカバンの中に入れていた。

最近はスマホの録音アプリの音質も向上しているのでもっぱらそちらで済ませることが多い。

しかし、自分の演奏を聴き返す時間は身悶えるほど苦手である。

音程の癖や音の処理の甘さが如実に示される。「汗で指が滑っちゃって」なんて言い訳は通用しない。

そこに刻まれた音を出したことは事実なのだ。

それを、まさか、語学学校の先生の前でやるとは!!

ブリティッシュ・カウンシルのmyClassでは、20レッスンを受けるごとに先生とのカウンセリングが設けられている。

普段のクラスでどの程度学力がついたのか、苦手な分野は何か、その苦手分野に対してどんな対策をすると良いかなどについて、先生と1対1で話し合いながらアドバイスをもらう。

普段のレッスンについての雑談を終えると、

いくつかのトピックから自分がプレゼンしたいと思う題材を選んで、文章を自分で組み立て披露する。

それを先生が録音してくれて、プレゼンのあとに一緒に聴き返しながらアドバイスをくれるのだ。

前回のカウンセリングで私の拙いプレゼンを聞いた先生は、

「抑揚が乏しいね」「もっといろんな言い回しを身に着けられるといいね」と言いながら

いくつかの参考書と、私のレベルに合った小説をピックアップしてくれた。

私自身は、文と文の間に「あー」とか「うー」とか考え込んでいる自分を知って

(学生時代に、先生が朝礼で「えー」という回数をよく数えていたけれど、それといい勝負!)

もっと脳みそと口を直結させなくてはと思い、ここ数ヶ月のレッスンに臨んでいた。

そうして迎えた2回目のカウンセリング。

プレゼンの録音を聴き返しながら、先生は文法上での間違いや、動詞の選び方について細かく指摘をしてくれた。

「このフレーズはもっと縮めてスピーディに!」

「ここの言葉の選び方はこっちのほうが自然だ」

「はい、このフレーズ暗記して!」

「もう一回!」

「今度は僕の方を見ながら」

「もっと怒った感じに!」

(と言われると笑っちゃうのが私)

先生は最後に「君は他の規準に比べて“Accuracy(正確さ)“が弱い」と指摘をした。

ブリティッシュ・カウンシルでは10回のレッスンごとに、

5つの規準(タスク達成度 発音 流暢さ ボキャブラリーの幅と適切さ 正確さ)に基づき、

授業中に評価を実施してくれる。

私はこれまでに受けた2回の評価で、流暢さ・ボキャブラリーの幅と適切さが「普通」と評価されていたので

(あとは「良い」だった)、その2つの評価を押し上げようと思っていたところだった。

そして、なめらかに感情を伝えることを意識して行った今回のプレゼン、唸り声を発する回数は減っていたけれど、

考え込む時間が減ったかわりに細かいところが雑になっていた。

新しいスキルを身につけようとするとき、ひとつ糸口を見つけると私はそこに執着してしまう。

過剰なくらい反復して改善しようと努力するぶん、他の場所に意識がいかなくなることが多くて、

その傾向は小さい頃からよく先生に指摘されていた部分でもあった。

「七海ちゃん、先生の言うことは5割くらいで聞いていたらいいんだよ」

そんな訳ないでしょ!!と思っていたけど、その時先生が言いたかったのは、

自分を見つめて必要な努力をしなさいってことだったのだと思う。

評価に頼りすぎるのも、カリキュラムに頼りすぎるのも、

自分で判断する責任を放り投げて甘えていることに過ぎないなぁ、としみじみと感じた。

ヨガのクラスで鏡で自分の姿を見てバランスを取るように、茶道のお稽古でお客様から見える姿勢を意識するように、

そしてチェロを演奏する時に、お客さんにどのように演奏すれば自分の伝えたいことが伝わるのか試行錯誤するように、

次の20回、どんなふうにレッスンを受けるか自分で考えてみようっと。

レッスンは受ける前は緊張するけれど、終わった後は受けてよかったなと感じる。

録音を聞く時間は苦手だけど、聴き終えた後は問題点がはっきり見えてくる。

ボイスレコーダーはちょっと厳しいけれど、大切なお勉強のお供です。




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